理事長所信
一般社団法人 丹波青年会議所
第54代理事長 倉本 亘
はじめに
青年会議所はまちを変えることができるのでしょうか。
時に、私はこの疑問に直面することがあります。そんなことが果たしてできるのかと。
1972年、ひかみ青年会議所が創設され、設立趣意書にはこのように明記されました。
「我々青年は、次代の担い手としての大きな責任を自覚し、限りない自己の研鑽に励むと共に、明るい豊かな氷上の実現の為の推進力となる。現代は若さを求めており、我々は英知と勇気と情熱をもって地域社会開発の原動力となる。」
それから53年の月日が流れました。その間も高い志と強い覚悟をもった多くの若き青年たちがまちを動かし、より良い未来を築いてこられました。この原動力の源には丹波青年会議所に連綿と引き継がれている「信念」があります。この信念を大切に守り、目まぐるしく変化する社会情勢にあってもより良い社会を実現しつづける使命が私たちにはあります。53年に渡るこの歴史の中で培われた信念を受け継ぐ私たちに、まちを変えられないはずはありません。
明るい豊かな丹波の実現を夢見て、その想いを紡いでこられた先輩諸兄姉に深い敬意を示すとともに、活動を支えてくれる身近な人々への感謝の想いを忘れず、このまちの未来をより良いものに変えていきましょう。
未来をデザインしよう
私たちの理念である「明るい豊かな社会の実現」とはどのような社会でしょうか。
私は、理想の未来を描き、その実現のために多くの市民を巻き込んだ運動を展開することによって、個人の意識改革を起こすことであると考えます。
私たちの運動は、決して自己満足であってはなりません。また目の前にある課題だけを解決するものでもありません。理想の未来を描き、それを実現するための道程を未来から現在へと遡ることで見出される課題を解決する。これこそが私たちに求められています。
私は、行政に7年間身を置いていました。そこでは同志とともにそのまちの未来をイメージし、理想を語り合いました。とてもワクワクしたことを今でも覚えています。しかし一方で、そんなものは夢物語だ、現実に目を向けろと馬鹿にされたこともあります。ですが、どんなに馬鹿にされようとも、否定されようとも、理想を持ち語り合いましょう。そして、その理想を必ず達成するんだという使命感を強く持ち行動することが、未来をデザインするということなのです。
目の前にある課題解決だけに囚われることなく、理想の未来を描き、その未来の実現に向けて今行うべきことは何かを的確にとらえた運動を展開し、個人の意識改革を起こしましょう。
成功体験から広がる可能性
このまちにとって最大の宝とは何でしょうか。
私は、「子供たちの可能性」だと考えます。子供たちには無限の可能性があります。
ICTの発達やSNSの浸透によって現代の子供たちは、私たちが子供のころには想像すらできなかったほど広い視野で、夢や目標を描くことが可能となりました。子供たちが将来の自分の姿を語るとき、その瞳はキラキラと輝き、実現できると信じて疑っていません。
では、私たちは子供たちに何をしてあげられるのでしょうか。確かに、現実を示すことは大事ですが、限定的な考え方や価値観を押しつけると、子供たちの可能性は広がりません。子供たちに答えを提示するのではなく、適切な情報を与え、一つでも多くの可能性を示してあげることで、夢に向かって自ら歩んでいく力を育むことが私たちには求められます。その道中で課題や大きな壁にぶつかることが必ずあります。そんな時でも、数ある選択肢の中から自ら考え導き出した答えは、子供たちにとってかけがえのない財産となります。その積み重ねが自信となり経験となり、そしてチャレンジする力となって、将来、世界中で躍動する大人へと成長していくと考えます。
共感を生む運動発信
「私は青年会議所に所属しています。」と自己紹介したとき、相手の反応はどうでしょうか。頭に”?”が浮かんでいる人、良い印象を持たない人が多くいるのではないでしょうか。
参画しているメンバーや関係者は、まちをより良くするために活動しているという自負がありますが、それが共感を生まなければ運動を起こすことはできませんし、個人の意識改革にはつながりません。これが自己満足の運動と言われる所以です。
そこで私たちに求められていることは、青年会議所活動をまちに効果的に広める発信を行うことです。広報活動において大切なことは、ターゲットを絞り、情報を最適な媒体を通して相手へ確実に届けることです。ただ闇雲にSNSやHPに掲載することが広報ではありません。私たちのビジョンや価値観を届ける工夫が必要になってきます。
戦略性をもって発信することによって、私たちが伝えたいことと相手が求めていることが合致すれば、そこに共感が生まれお互いにwin-winの関係を築くことができます。この繰り返しがまちに共感を生み、私たちの取り組みに共感してくれるまだ見ぬ同志と共に、よりよいまちの未来を描いていけるのではないでしょうか。
私たちの活動や起こす運動に誇りを持ち、自信をもって発信していきましょう。
リーダーシップの開発と成長の機会
この見出しに見覚えはありませんか。そうです。JCIミッションの一節です。
私たちには、この「リーダーシップの開発と成長の機会」を青年に提供する使命があります。
私は、指導力開発系の委員会に所属していた時、多くのリーダーシップについて学びました。目指すべき理想に向かって、先頭に立ってメンバーを率いる力、メンバーの力を把握し、その力を最大限活用することで理想を実現する力、その他にも様々なリーダーシップを学びました。その学びによって私はリーダーに求められる資質は、「なぜ、今、この行動をとらなければならないのか」という動機づけをメンバーに与えられる存在であることだと考えています。
組織とは、一人の力では成し得ない大きな理想をメンバーと協力して実現するために存在します。組織においてリーダーは方針を定め、メンバーを共通のゴールに導く役割があります。メンバーの長所を理解しその力を最大限発揮できる環境づくりを行うことで、お互いに信頼関係を築き、行動を促進することがリーダーには求められると考えます。
丹波青年会議所のメンバーは一歩まちへ出ると一人ひとりがリーダーです。立場は違えど、大きな夢を持ち行動しています。そんな人財が多くいるこの丹波。多くの組織が躍動するこの丹波において、その中心にいるのは私たちではないでしょうか。
共通の価値観の創造
丹波青年会議所のメンバーは仲が良く、結束力があると耳にすることがありますが、果たして、メンバー1人ひとりのことをあなたはどれほど理解しているでしょうか。質問を変えると、自分自身のことをメンバーはどれほど理解しているでしょうか。あなたのこと、あなたの家族のこと、あなたの職業のこと。様々なアイデンティティがありますが、周りはあなたをどれほど理解していますか。
人間関係やビジネスにおいて、相手を理解し、相手の立場に立って物事を考えることは、とても役に立ちます。まずは自らの意見に固執せず、相手の意見を柔軟に受け入れることから始めましょう。そうすることで、相手の特徴や専門性をより深く理解することができ、新たな一面に気づくことができます。その結果、新たなアイデアや価値観が生まれお互いの信頼関係が形成されていくと考えます。
私たちがお互いの知識や経験を共有し相互理解をより深めることで、結束力が強まります。この力は組織力を向上させ、より強固な信頼関係で繋がった丹波青年会議所に生まれかわります。
これは、個人間の結束力に留まりません。丹波市には行政をはじめ、同じ志を持って活動する企業や団体が数多く存在します。組織間でも相互理解を深めることで良好な連携を構築することによって活動の幅を広げ、共により良い丹波の未来を築いていきましょう。
未来を見据えた組織運営と効率化
私たちは、明るい豊かな社会の実現を目指して、様々な運動を展開していますが、時折、「青年会議所活動が会社の負担になっている」「家族との関係が悪化している」といった声を耳にすることがあります。社会の最小単位は家族です。家族や会社を犠牲にして明るい豊かな社会は成り立ちません。青年会議所には「Be Better(よりよくあれ)」という考え方がありますので、そもそも関係悪化は望んでいないのです。
限られた時間を最大限活用し、自分に縁あるまちをより良くしたいと真剣に議論を交わしています。私たちには青年会議所の活動と家庭や社業、地域での活動の両立を可能にする組織運営が今後ますます重要となります。このような話題になると、よく議論されるのが効率化です。無駄を省き、効率を最大化することは丹波青年会議所に常に求められています。しかし効率だけを求め組織運営の手法改革に決して固執することなく、自分自身の役割を十分に理解し、この組織が丹波の未来にとっていかに効果的であるかについて議論する必要があると考えます。身近な人と協力し、助け合うことによって丹波青年会議所を持続的に発展する組織体へと強化していきましょう。
最後に
この青年会議所は、「自己成長」「社会貢献」「国際」「ビジネス」これら4つの機会が提供されています。しかしこれらは与えられるものではなく、自ら手にすることでしかその機会を得ることはできません。言い換えればここに用意されている機会はすべて挑戦です。これまで経験したことがないことに挑戦する。結果がどうであれ、この「挑戦した」という事実が、私たちの未来に大きな財産となることでしょう。
私たちは、丹波青年会議所の歴史を学び、そこから新たな未来を描くことで、まちを組織を発展させてきました。伝統に囚われることなく、常に考えを巡らせ、笑顔あふれる丹波の未来を描き実現に向けた一歩を勇気をもって踏み出していきましょう。
スローガン,基本理念,基本方針
【スローガン】
Design the Future ~笑顔あふれる丹波の未来~
【基本理念】
一、市民が参画したくなる運動を展開します
一、相互理解の深まりから生まれる新たな価値を創ります
一、未来を明るく照らすリーダーシップの向上を目指します
一、共感を生み人が集まる組織づくりを目指します
一、丹波青年会議所の理念を理解し永続に存続させる必要性を後世に伝えます
【基本方針】
一、協働によるまちづくりの実施
一、行政、各種団体との積極的な連携・協力・交流の実施
一、会員拡大の理解向上及び会員拡大の実行
一、戦略的広報活動の実施
一、活動しやすい環境の創出
一、効率的な会議運営の改革と実行
一、OB会員との積極的な交流を実行
一、50周年ビジョン「+1TAMBA」の拡充
一、SDGsの実行